
── その五、みなとみらい、からすの決着 ──
十三
その一撃は疾く、受けたのはギリギリだった。
当然のように、すわんの手に握られる長大な蒸気剣、超級幻我。
覚悟していた……《猫と狩人》との、最後の闘い。
だが、壁を叩き割りながら出現してきた相手には、少なからず驚く。
「おミキ……」
うつろな、赤い瞳の少女。
どこか、昆虫的なシルエット。
小麦色の肌に彼女がまとう、奇妙な装束と、細長い剣には見覚えがある。
先日、チラッっと見せてもらったノート。たしか……
「初出……超級剣姫……超級、幻我……」
そして彼女の頭には、人間の耳とは別に、ウサギの耳が二つ生えていた。
鋭角的な耳が、ゆらりと揺れる。
「……ハンターコール、エルアレイラ……ウサギのイグジストを半憑依させた、完全攻撃型の社員」
壁のむこうから、声がする。
音のある、声が。
猫君主のモノ……ではない。
すわんは剣を横にないで、意識の方向と思われる壁を斬る。
「Rigftyue ratfiof ratfi ratfi ratfiof」
瞬間、大音量がなだれ込む。
いや、それは音ではない。
電気的に合成された、無機的な意識が、『烏鷺咬蛇の言祝 |