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![]() ──ボツワナ その1── モーニングサファリ アフリカといえば、野生動物の宝庫……ってのは、一般的な認識だよね。 それがわかっていても、今回の体験はとても興味深かったです。 なにしろ、人間の居住地域と野生動物の生息地域が重なっているので、普通に道を走ってても、ゾウやバッファローが出現しちゃう。 動物園でしか見たことがない動物が、ごく自然に出現する…… ホントに、地域の生活と密着してるって感じですよ。 今回ご報告するのは、西暦2000年8月15日に僕が見学した、ボツワナにある、チョベ国立公園……と、その周辺。 なして周辺なのかは、追って明らかになるでしょう。(笑) 2000年8月15日(火) 早朝
この日は、南アフリカ旅行の目玉のひとつである、サファリ見学が集中する日。
まずは朝5時半に起きて、早朝サファリ。 専用車に乗ってホテルを出発、一路チョベ国立公園に向かうのだ。 僕らの車には、5人の乗客と、ドライバー兼ガイドをしてくれる、レンジャーのカニさん。 黒人の方である。 客は、僕、母、母の友人、それと一般のお客さんで、日本人のご夫妻。 ツアーではなく、個人で来られたとのこと。 翌日、僕らと同じ時間にチェックアウトして、南アフリカに戻ってケープタウンに行くまで、同じ便であった。 車は9人乗りなので、ガラガラもいいところ。 客席は3人ずつ、3列になっており、僕ら3人は前の席、日本人ご夫妻は後席。 よって、中央の席は空である。 事前の説明では、かなり冷えるとのことだたので、かなり厚着をしていく。 Tシャツ、トレーナー、レインコートを着こみ、予備にジャンパーを持参して、装備完璧……と思った。 いくら寒くても、所詮はアフリカ……と、ちょいと油断があったかもしれない。 ごっつりサファリ見学専用車は、ホテルを出てから右折して、何台も連なって、まっすぐな舗装道路をひた走る。 早朝のほの明るい道を、いかにもアフリカっぽい風景がすぎて行く。 防寒対策はしていたが、さらに毛布が支給されて足にかけられている。 寒いといえば寒かったが、別に我慢できないほどの寒さではない。 というより実は僕、客席前列の左端に座っていたのですが、ここって脇の手すりがほとんど無い。 ほかの席は、両端をがっちりガードする手すりがあるのですが、前列だけは無きに等しい。 だもんで、乱暴に右折しようものなら、外にフッ飛ばされるんじゃないかと、ヒヤヒヤものでしたよ。(苦笑) 途中、運転手にしてレンジャーのカニさんが、ふと路肩に車を停める。 なにかと思ったら、前の車の乗客が帽子を落としたらしい。 ちなみに僕は、帽子にゴムをつけてあるので、風対策はバッチリ。 カニさんは無線で連絡して、国立公園の入口に他の車を待たせ、帽子を落とした観光客に渡していました。 なかなかに、気の利く方っぽい印象でした。 で、国立公園に入ると、道は舗装道路から、土に変わる。 決まった道があって、そこから外れてはいけないようだ。 何台もいる車は、それぞれ違う道に散っていく。 同じ方向に固まらないのは良いことだが、乗った車によって当たり外れがるという事でもある。 僕らの車は、入口から右側の道に進む。 ![]() 最初のうちは、インパラやホロホロ鳥が、まばらに見える程度。 あとは、遠くにカバがいたな。 見なれぬうちは、 インパラとかでも停車してくれたのだが、次第にありふれた動物であるコトが明らかになると、そこらへんはスルドク、パスするようになる。 なんつーか、淡々とサバンナを車でゴロゴロ行くという、ツマラナげなドライブが続く。 そして、小屋ぽいところにつくと、そこが終点らしい。 折り返して逆の道へ。 途中ですれ違った車のレンジャーに「ヒッポ」……つまり、カバを見たよ、という感じの話をしたりして、中央に戻ってきた。 今度は、チョベ川ぞいの道を左に行く。 ゾウの糞っぽいのが転がっているが、大型動物の気配は皆無。 あいかわらず、インパラとホロホロ鳥ばかり。 ゾウやライオンはおらぬのか? ……と、カニさんが前方に注意を促す。 どうやら、水辺のずっと先に、バッファロー(水牛)の群がいるようだ。 しかしカニさん、車を水辺から離れる道に進ませる。 指定の道以外は通っちゃダメで、しかもバッファローがよく見える場所は指定区域外……てコトか。 などと思っていると、車が道端で止まる。 特に変わったモノが見えるワケでもない場所……なして停車するかな? とか考えていると、カニさんは右手の茂みを示す。 最初、よくわからなかったのじゃが、よくよく見ると、茂みの間からバッファローの姿がチラリと……つーか、結構な大軍が見え隠れしてる! つまりココは、さっき見えた水辺のバッファロー達が向かった先なのである。 さすが、レンジャー……見事な読みナリ! ![]() バッファロー達の動きが、にわかに慌ただしくなる。 「ライオンがいる!」 ……と、誰かが叫んだ。 殺気立つバッファローと、立ちこめる砂塵の中に、確かにライオンらしい影……メスのライオンが見える。 バッファローは群を守るため、必至でライオンを牽制。 ライオン側も、無理に狩るつもりはないらしく、しばらくするとバッファローの群から離れはじめる。 ……そしてライオンは、わしらの前を悠然と通りすぎたのである。 まず1匹。 こいつは、黒い首輪をはめている。 後で聞いた話だと、生態を調査するため1匹だけ発信器つきの首輪をはめさせたのだとか。 そいつが、通り過ぎると、こんどは首輪のないライオン。 2匹とも、メスのライオンであった。
ライオンは、僕らの車の進行方向よりちょっと先で座り込み、周囲を伺っている。 後方では、バッファローの群が砂煙を舞い散らしながら、僕らの来た道を横断して行った。 なんとか群を、ライオンから遠ざけようとしているみたいだ。 しばらくバッファローの群が横断する様が続き、やがて通り過ぎる。 ……と、砂塵の向こうに無数のサファリカーが! どうやら、無線でバッファローとライオンの登場を聞きつけ、集まってきたらしい。 するとカニさん、おもむろに車を反転させて、後続の車に場所を譲る。 メスのライオンに群がる、他のサファリカーを尻目に、わしらは現場を後にしたのでした。 なんか、めちゃめちゃカッコイイじゃないデスか! 「Good Guide!!」 わしら、惜しみない賛辞を送ったね。 後で、「Good Job!!」って言えばよかったと後悔したけど、称賛する気持ちに変わりはない。 さりげなく、かーちゃんとチップを出す相談をしました。 母いわく、これでアフリカゾウを見せてくれたらチップを出そう! ごもっとも……まぁ、バッファローの群とメスのライオンだけでも、十分にチップを出す価値はあると思うケドね。
……結局、モーニングサファリでアフリカゾウを見るコトはできませんでした。 途中、ゾウのエサ場とおぼしき、皮が剥がされた林も見たケド、ついに出現せず。 残念ながら時間切れとなり、午前9時すぎにホテルへ戻ったのでした。 出た直後は、けっこう寒かったのですが、帰るころにはすっかり暖かくなっとったよ。 降り際、わしらはカニさんへ、チップとして1人1ドルずつ、計5ドルを感謝の印に渡したのであった。 よかよか。
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